煙に巻いて死んでいった

昨日は映画ばかりを観た日曜日だったけど、その前の日曜日は横浜にある神奈川近代文学館『生誕80年 澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン』へ。本屋の河出文庫の棚の一角を占める、怪奇的で魅惑的なオーラを放つ澁澤龍彦の存在はだいぶ前から気になってはいた…

つげ義春の歩き方

そういえば、先週の金曜日の通勤時に人生で初めて財布をなくした。気づいたのは改札を出ようとしたときで焦ったのはもちろんのこと、それとは関係なく腹が痛くもあったので輪をかけて焦りまくった。どこで財布を落としたのか見当もつかなかないので、とりあ…

だったら黙っているか、にもかかわらず喋るか

一昨日くらいに、突然、Webサイト制作に目覚め、BiND for WebLiFEの体験版をダウンロードし、連日夜更かししながら作業に励んで、やっと今日そこそこのものが完成したんだけど、最後の最後でなぜかサーバーにアップロードすることができず、いろいろと試行錯…

ナンセンスな世界を生きる

やっと読んだ。「楢山節考」は前々から読もうと思っていた小説のひとつで、直接的な引き金は「居残りドリル」のエントリーだった。独特のリズムとユーモアのある文体がすごくて、一語一語を読み飛ばさないようにゆっくりと読む姿勢は、昨日のスティーヴン・…

骸骨乗組員

土曜日は雨だったので、よく眠った。夜に母親が来る。母親は月1で織り物やら編み物やらの講習を東京に受けに来ていて、都合が合えば稀にうちに泊まりに来るんだけど、やっぱりこの日に来るということは意識下に「母の日」があってのことだったんだと思う。…

ヨク隠レシ者ハヨク生キシナリ

図書館で借りた種村季弘著「雨の日はソファで散歩」を読む。中でも面白かったのは「幻の同居人」という江戸川乱歩について書かれたエッセイで、なぜそのエッセイに反応したかといえば、江戸川乱歩と引きこもりを照らし合わせる箇所に、ちょっと他人事ではな…

幕張のおU

休日は幕張の浜へ。駅から海へ歩いて向かう途中に「おU」という、とても気持ち良さそうなポーズをとった女性の像があった。なぜ「おU」という名なのかは家に帰ってからインターネットを駆使してもわからないままだ。「おU」の像を過ぎ、林とまではいかな…

「おぼろ豆腐」と「揚げパン」のコミュニケーション

ちょっと前のエントリーで紹介した保坂和志の「残響」を時間をかけて読み終えた。解説でも石川忠司が言及しているけれど、以下の箇所が、個人的にぼんやり思っているだけで腰を据えて考えたことがなかったことについて見事に文章化していたので、感銘を受け…

ちいさいおやじ日記

ちょくちょく覗いていたブログがついに書籍化されたらしく、仕事帰りに本屋に寄ったら、目立つ場所に大きく平積みされていて嬉しくなる。そのブログで単行本は「ちいさいおやじ日記」といって、雨の日にちいさいおやじを拾った女子大生のスロウでシュールな…

春眠暁を覚えず

春になると、これでもかというくらい「春眠暁を覚えず」を頭の中でくり返し詠んでいる。ようは眠たいんだけど、つねに眠たい状態はひととして引け目になりうるから、こう「春眠暁を覚えず」を詠むことよって「春はみんな眠たくなるもんだからしょうがないじ…

種村季弘と内田百間

ひとに聞かせるような出来事がここ2、3日起こってない。 最近読んだ種村季弘の「書物漫遊記」が面白かったから、同シリーズの「偽物漫遊記」と「食物漫遊記」のどちらかを買う目的で本屋へ出かけたんだけど、本屋の醍醐味は「迷うこと」にあるわけであって…

種村季弘「書物漫遊記」

最近になって読みたくなったのは、亡くなったひとのエッセイ。それに加えて、前々から「本について書かれた本」を読むのが好きだったので、といっても実際はジャケ買いなんだけど、初めて種村季弘を読む。まさに「書物漫遊記」という名にふさわしく、初出は…