愛しの過剰

昨日はタランティーノの『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2回目)をDVDで。やっぱりラストはメチャクチャ笑えるし、前半の延々とつづく無駄話には、2回目にして、温泉につかるような心地よさを感じた。前半の舞台はタランティーノ自身が店主役を演じる酒場なんだけど、スタイル抜群の美女が無駄話したり、シリアスにメール打ったり、ぼうっと土砂降り眺めたり、ケツを激しく振って踊ったり、普通だったらカットするようなシーンを40分くらい延々と撮っていて、はっきりいって退屈なんだけど、この退屈さが酒場に流れる時間を如実に表していてけっこう心地よかったりする。なんか「退屈」を表現することで「今この瞬間」を感じさせているような感じとでもいったらいいのか。
タランティーノがオマージュ・パロディしてやまない70年代のゲテモノ映画(グラインドハウス)をほとんど観ていないから、その真意があまり分かっていないのかもしれないけれど、「ここらへんがマニアにはたまらないんだろうなぁ」というアクの強さは何となくわかっていて、で、次に観るときにはそのシーンに普通に「たまらんな」と反応したりしているという、つまり似非マニアになってるわけだけど、まぁ、ぼくはそうやって今までタランティーノの映画を繰り返し観てきたような気がする。そんなことをいうと、知りもしないゲテモノ映画の憧れに対する憧れ、という浅薄な映画体験に見えるかもしれないけれど、実際に『デス・プルーフ in グラインドハウス』を観ているときには単純に興奮しまくっているわけであって、やっぱり、ゲテモノ映画精神は時代や知識を超えるんだな、と思う。とにかくこの映画のラストに関しては、ある種の傾向を持った人間にはたまらないものだ。
で、今日は横浜の黄金町にあるシネマ・ジャック&ベティで『やわらかい手』『ダージリン急行』の2本立てを観る。ウェス・アンダーソンの『ダージリン急行』は以前から観たかった映画なんだけど、『やわらかい手』は知りもしなければ大して観たくもない映画で、2本立てなのでせっかくだから観てみたわけだけど、なかなか面白かった。夜は日曜洋画劇場で「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」。アクション映画に好感が持てるのは、ストーリに丸め込まれるよりもいっぱい遊ぶことを良しとしている点だと思う。