関内の二郎

夕方は横浜にあるZAIMで急な坂スタジオ主催のマンスリーアートカフェへ。
仕事帰り早めに横浜についたので、伊勢佐木町方面へ向かいガッツリ食べれて時間をつぶせるカフェかなんかを探す。いまはなぜか三島由紀夫の「近代能楽集」を読んでいる、といってもそれなりに理由はあるんだけどつまらない理由なのでとぼけることにして、それをカフェかなんかで読もうと思っていた。だけどガッツリ食べれて時間をつぶせるところなんかそうそうあるもんじゃないので、歩き疲れたし、雨降ってるし、と途方に暮れていたら、どことなくラーメンな気分になってきた。次の瞬間「久々に男を試してみよう!」と意気込んだのは、関内にラーメン二郎があることを思い出したからだった。記憶の地図をたよりにぶらついていると伊勢佐木長者町駅近くにこうこうと輝く黄色い看板を発見、長蛇の列だったけど、まぁ、時間つぶしにぴったりじゃね? とすました顔で列に並ぶことに。店内に入ると男たちが黙々とラーメンを食べていて、油で汚れた壁には社訓が掛かっていた。こうある。「味の乱れは心の乱れ、心の乱れは家庭の乱れ、家庭の乱れは社会の乱れ、社会の乱れは国の乱れ、国の乱れは宇宙の乱れ、ニンニク入れますか?」「…少なめで」と答えたのはこのあとマンスリーアートカフェがあったから。

マンスリーアートカフェはアルゼンチンの新鋭のアーティスト、マリアーノ・ペンソッティとマリアナ・ティランテを迎えたもので、このひとたちは市街劇をやっているらしく、10月に横浜でレジデンス創作および公演を行うとのこと。あるストリートを舞台に9つの物語が同時に展開するパフォーマンス(これを横浜でもやる)を映像で見たんだけど、たとえばビルの前で誰かと待ち合わせをしている男がいて、その背後の壁には字幕が映し出されその男の状況を説明する、という、単純な日常(現実)と複雑な背景(虚構)のコントラストによって新しい世界像を生み出すものらしい。個人的に字幕を入れるのが面白かった。10月の横浜公演は現実と虚構のコントラストはもちろん、横浜とアルゼンチンのコントラストがどうなるのか気になるところだ。