8月28日〜31日


もうすぐ次の公演の稽古が始まる。新型インフルエンザが超コワい。

■8月28日 沙央里ちゃんの家

新宿で大学のときの後輩、って後輩なんて偉そうなことを書くのが少しためらわれる、そんな彼と焼き鳥を肴に飲む。興味深い話をいろいろ聞く。角川の日本ホラー小説大賞を獲った『沙央里ちゃんの家』を薦められる。彼が言うに、まず表紙は福満しげゆきが描いていて、内容はホラー小説の枠を越えるほど変わっているらしい。作者は大学生でこの小説を書いたらしくて、彼よりも若い。とにかくホラー要素に限らず、ディティールがズレまくっている。主人公が夏休みにいとこの沙央里ちゃんの家に父親と遊びに行くっていうのが、大まかなストーリーなんだけど、激しい雨の中、沙央里ちゃんの家に到着して玄関のチャイムを鳴らしても、誰もでてこない。留守かもしれない、と待つ。もしかしたら寝ていたのかもしれない、そろそろ起きたかも、と30分後にまたチャイムを鳴らすと、普通におばさんが「久しぶりー」と出てきて、おばさんの肩から手まで血で染まっているけど、ここでは大して問題にならない。魚をさばいてたらしい。おばさんは夕食にカップ焼きそばを出し、朝食も同じカップ焼きそばを出し、昼食は普通の焼きそばを出してくる。なんか夏休みの一大イベントのはずが、とても退屈で、とても暗い時間が流れる。微妙なツッコミどころ満載。という説明、といっても半分くらいはすでに読み終わった自分の情報も入ってるけど、さっそく次の日にブックオフで『ペドロ・パラモ』とともに買う。

■8月29日 ペドロ・パラモ

『沙央里ちゃんの家』を読んでから『ペドロ・パラモ』を読む。これがまたメチャクチャ面白い! 夜更けまで台所でビール飲みながら柿ピーつまみながら読んだんだけど、読書でこんなに至福のときを味わったのは久々かも。人生で何度も読み返す類い。

■8月31日 BBQ

中学のクラスメイトの中でも、好きな小説とか音楽とか映画とかを共有していた一人と、今年の夏は地元でも東京でもいいから会いたいね、という話をしてて、ちょっと前に「いまルームシェアしてる連中と多摩川でBBQするからどうだ」というメールが着たので、雨が降りそうな中、オシャレして行ってきた。そのシェアしている仲間が相当イケイケでノリノリで、もちろん友人もそうであったわけだけど、バーベキューというよりも、もう軽いレイヴ状態。そんな中、ぼくはとにかく自分の身体が重たいことを意識せざるをえなくて、ちょっとでもノリノリになった途端になぜか自分のアイデンティティーが崩れ落ちそうな気がしたので、左足に重心を置いて腕組みをしながら微かに首をリズムに合わせて上下させ、なんとなく笑顔で乗り切ることにした。いまウィキペディアで調べたら、レイヴの語源は「自分に嘘をついて無理矢理盛り上がる会合」らしいので、これは全然ダメな姿勢だった。そんなことより、久しぶりに友人といろいろ話ができたからよかった。