12月7日〜9日


いわき公演が無事に終了しました。いよいよ来週からスズナリ公演です。公演情報は下の方です。

■12月7日 冒険王

午前4時30分の高速バスでいわきから東京へ戻る。午前9時に自宅に到着して、日の照った居間でストーブとテレビをつけっぱなしのまま仮眠。午後2時にアゴラで青年団『冒険王』を観るので、午後1時に家を出ようとしたんだけど、鍵が紛失してすごいドタバタする。駅まで走る。やっぱり、青年団アゴラで観なきゃですね。俳優の声や動きの交錯や変化が、静謐な空間に緻密な音楽を奏でる。心地いい時間を過ごす。中目黒でワンタンメンを食べ、夜は横浜。

■12月8日 巻き込まれたい

突然だけど、俳優ってなんだー、と思う。というのは、毎日新聞の夕刊に宮城聰さんのエッセイが掲載されていて、自分の表現活動の中に少しでも普遍的なものがあるとすれば「自分にしか関係がないものを表現するために一生を費やしてしまう、その空しくも切実な努力」しかない、みたいなことを書かれていて、画家や小説家ならまだしも、演出家の場合は「自分にとっての美」を形作るために他人を巻き込むわけで、なんでそんなことが許されるんだろうか? という、とてもプリミティブな問いに影響を受けてのこと。…なんで巻き込まれてしまっているんだろう、おれ。俳優っていうのは基本的に自己顕示欲旺盛な人間だと思うんだけど、巻き込まれる原因をその自己顕示欲だけにしたくはない、という思いがあって、なので考えてみたら、おそらく「空しくも切実な努力」に人生を賭ける、頭がおかしい演出家に巻き込まれたいという欲望があるからなんじゃないかと思った。それはけっこうな快感なんだと思う。

■12月9日 空っぽ力


岸本佐知子の言葉だけど、翻訳家にいちばん必要なのは空っぽ力で、翻訳をするよろこびは空っぽであることのよろこび、っていうのは、なるほどなー、と思った。